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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)30号 判決

控訴人

大和団地株式会社

右代表者代表取締役

中村正

右訴訟代理人弁護士

若菜允子

被控訴人

函南町長

中村博夫

右訴訟代理人弁護士

佐藤文保

主文

一  原判決主文第二項を次のとおり変更する。

1  被控訴人が控訴人に対し昭和五六年三月三〇日付けでした昭和五一年度から昭和五五年度までの各年度の特別土地保有税(申告分を含む。)の更正のうち、昭和五二年度の納付すべき税額三三一万一四〇〇円(申告分のほか二二〇万六五二〇円)、昭和五三年度の納付すべき税額三二四万二五一〇円(申告分のほか二一三万七六三〇円)、昭和五四年度の納付すべき税額三〇五万五六九〇円(申告分のほか一九九万〇八一〇円)及び昭和五五年度の納付すべき税額二九三万九六五〇円(申告分のほか一八九万二九三〇円)をそれぞれ超える部分をいずれも取り消す。

2  控訴人のその余の請求を棄却する。

二  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを五分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

(控訴人)

1  原判決中、控訴人敗訴の部分を取り消す。

2(一)  主位的請求

(1) 被控訴人が控訴人に対し、昭和五六年三月三〇日付けでした昭和五一年度から昭和五五年度までの各年度分の特別土地保有税の更正は無効であることを確認する。

(2) 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

(二)  予備的請求

(1) 被控訴人が昭和五六年三月三〇日付けで控訴人の昭和五一年度から昭和五五年度までの各年度分の特別土地保有税についてした更正のうち、昭和五一年度分について税額一八七万二九三〇円を、昭和五二年度分及び昭和五三年度分について税額一一〇万四八八〇円を、昭和五四年度分について税額一〇六万四八八〇円を、昭和五五年度分について税額一〇四万六七二〇円を各超える部分を取り消す。

(2) 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

控訴棄却

二  当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示(但し、原判決六枚目表初行の「本件各書面」及び同七枚目裏二行目の「本件文書」をいずれも「本件書面」と訂正する。)並びに当審記録中の書証目録及び証人等目録の記載のとおりであるから、これを引用する。

(被控訴人の主張)

1(一)  本件更正の根拠(課税客体及び税額算出方法)は、原判決事実摘示第二当事者の主張中三1(一)、(二)(原判決添付物件目録(一)ないし(三)並びに同別紙(一)及び(二)を含む。)のとおりである。

(1) すなわち、① 課税客体は、file_3.jpg控訴人の申告納付分(以下「申告分」という。)においては、昭和五一年度は原判決添付物件目録(一)記載の土地であり、昭和五二年度ないし昭和五五年度は原判決添付物件目録(二)記載の土地(但し、同目録中の番号58ないし63は非課税)であり、file_4.jpg申告分を超える分(以下「増額分」という。)においては、昭和五一年度ないし昭和五五年度とも原判決添付物件目録(三)記載の本件土地である。

また、② 税額算出方法は、file_5.jpg申告分においては、申告書(乙第一二号証の一ないし五)のとおりで、右①file_6.jpg各土地の取得価額の合計額(昭和五一年度一億五三一五万二〇〇〇円、昭和五二年度ないし昭和五五年度九七四五万八〇〇〇円)に税率一・四パーセントを乗じて得た額から、右各土地の各年度における固定資産税課税標準額の合計額(昭和五一年度一九三七万一〇〇〇円、昭和五二年度及び昭和五三年度一八五三万八〇〇〇円、昭和五四年度二一三九万五〇〇〇円、昭和五五年度二二六九万二〇〇〇円)に一・四パーセントを乗じて得た額を控除したものであり(一〇円未満切捨て、以下税額につき同じ。)、file_7.jpg増額分においては、右①file_8.jpg各土地の取得価額の合計額(昭和五一年度ないし昭和五五年度とも三億一五二二万五〇〇〇円)に税率一・四パーセントを乗じて得た額から、右各土地の各年度における固定資産税課税標準額の合計額(昭和五一年度一億〇八三四万九〇〇〇円、昭和五二年度一億一九一八万四〇〇〇円、昭和五三年度一億二五〇五万二〇〇〇円、昭和五四年度一億三七五五万八〇〇〇円、昭和五五年度一億四五八九万四〇〇〇円。この額の算出方法は後記2(三)のとおり。)に一・四パーセントを乗じて得た額を控除したものである。

(2) しかし、その後の調査により、増額分の課税客体、取得価額、固定資産税課税標準額の一部(したがって、各年度の税額)に訂正すべき点が発見されたので、これを以下のとおりに改める。

(二)  なお、更正等の課税処分の取消訴訟における訴訟物は、租税債務(税額)の存否である。すなわち、更正等によって確定された税額が、租税実体法によって一義的に定まっている客観的な税額を総額において超えているか否かが訴訟物となる(超えていなければ当該処分は適法である。)のであり、処分理由ないし税額算出の根拠となる事実は単なる攻撃防禦方法にすぎないのである。したがって、右訴訟においては、課税庁は課税処分の適法性を維持するため、処分時の認定理由に拘束されることなく、口頭弁論の終結に至るまで新たな事実を追加し又は交換することもできるのである。そもそも、課税処分は、納税者の当該年又は年度分の税額を数額的・総額的に確定させる処分であって、個々の発生事実ごとにその税額を個別に確定させる処分ではない。特別土地保有税についての更正も、個々の土地についての税額を個別に確定させる処分ではなく、納税者の当該年度の特別土地保有税の額を確定させる処分なのである。

2(一)  課税客体

(1) 本件更正のうち増額分は、控訴人が日本電建(現商号・日本住宅土地株式会社)から昭和四七年七月三一日に買い受けた土地を課税客体とするものであり、その売買契約書(乙第一号証)には原判決添付物件目録(三)のとおりに表示されている。本件更正の通知に際し、被控訴人が本件書面とともに控訴人に送付した修正決定と題する書面(乙第六号証の二、四、六、八、一〇)における地番「六七六―一外」及び面積「四一六八四m2」の記載も、右の本件土地を指すものである。

(2) 本件土地については、日本電建が農地法第五条の許可申請手続をし、昭和四五年六月一六日に同条の転用許可を得た。その後である昭和四七年七月三一日に売主日本電建と控訴人との間で本件土地の売買契約が締結されたが、その契約書には所有権を売主に留保する旨の条項は定められていない。そして、本件土地につき昭和四九年一一月八日地目が宅地に変更されており、その後においても前記農地法第五条の許可が取り消されたり原状回復命令が出されたりしたことはない。したがって、本件土地の所有権は、右売買契約の成立とともに控訴人に移転したものである。

ちなみに、控訴人と日本電建との間においては、本件土地の帰属に関する争いは訴訟等で控訴人の所有であると確定しており、控訴人は本件土地(但し、後述のように分・合筆等により(甲)土地となったもの)について昭和六一年九月二九日受付により、日本電建から昭和四九年一二月一一日売買を原因とする所有権移転登記を得ている。そして、控訴人は、被控訴人がした本件土地(後の(甲)土地)についての昭和五六年度ないし昭和五九年度の特別土地保有税の更正を認め、これを納付済みである。

(3) 本件土地の実際の面積は、前記乙第一号証記載のほか乙第二号証(覚書)記載の面積の合計面積であり、かつ、本件土地については、昭和四九年から昭和五一年にかけて、別紙関連表記載のような経緯により合筆、分筆、地目変更、地積訂正等が行われた結果、昭和五一年度以降昭和五五年度における地番、地目、地積は別紙物件目録(甲)のとおりとなった(以下、別紙物件目録(甲)記載の土地を「(甲)土地」という。)。したがって、原判決添付物件目録(三)記載の本件土地と(甲)土地とでは、その表示に差異があるが、課税客体としては彼此同一性を失っていないものであり、特定に欠けるところはないのであり、ただ、昭和五二年度ないし昭和五五年度分においては、(甲)土地のうち番号16、19の(A)(B)、21、22、34の(A)(B)、37が公衆用道路となり(本件更正において、この八筆の土地をも課税客体に含めたことは、控訴人主張のとおりである。)、これを課税客体から除外すべきものである。

(4) 別紙物件目録(甲)26記載の土地に、本件土地に含まれていない「池頭七三九番三」の土地が含まれていること(右土地が「池頭七三一番二」に合筆されたうえ再度分筆された。)は、控訴人主張のとおりであるが、そうであるからといって本件更正の対象土地の特定を欠くことにはならないし、右土地は控訴人が自己申告した昭和五一年度ないし昭和五五年度の特別土地保有税の課税客体にも含まれていないのであるから、二重に評価した違法はなく、被控訴人としては税額の算出に当たり右土地の取得価額を加算しているわけでもない(本件土地の面積は四万一六八四平方メートルであるのに対し、(甲)土地の合計面積は四万五六三九・九一平方メートルであるが、面積が増加している分について取得価額を増額しているわけではないので、税額の計算上控訴人には有利であっても何らの不利益はないのである。)。

また、控訴人は、本件土地の一部である「池頭七三一番一一ないし一四」の土地が(甲)土地に入っていないと主張するが、そうであるとしても、本件更正においては右各土地の取得価額を全体の取得価額に加算しているわけではないし、本件訴訟の訴訟物は個々の土地に対する税額の存否にあるわけではないのであるから、控訴人の主張する点は本件更正の税額に何らの影響もない。

(二)  取得価額

(1) 本件更正(増額分)においては、本件土地の取得価額は、各年度とも、前記売買契約書に記載された売買代金額である三億一五二二万五〇〇〇円に基づいたものである。仮に、控訴人と日本電建との間において、覚書(乙第二号証)のとおり本件土地の実測面積の増加に伴う代金三六四一万〇五〇〇円の追加精算が行われたとしても、売買契約書の記載のみに基づいてなされた本件更正によって控訴人に不利益を与えることはない。

(2) もっとも、前記のとおり、本件土地の一部が道路となったことにより、昭和五二年度以降における特別土地保有税の課税客体が減少したので、当該土地の取得価額分を差し引くと、課税対象土地の取得価額の合計は、昭和五一年度が三億一五二二万五〇〇〇円、昭和五二年度ないし昭和五五年度が二億四一四五万九〇〇〇円(別紙「2更正による税額について(B)」の(2)税額計算の項のうち、各年度の①更正分欄の金額のとおり。この金額は、売買契約書に記載されている本件土地全体の取得価額をもとに課税客体たる土地面積の按分により算出した。)であり、また、追加精算後の売買代金額を基準とする場合には、別紙「2更正による税額について(A)」の右同欄のとおり、昭和五一年度が三億五一六三万五〇〇〇円(精算後の代金額。但し、五〇〇円は切捨て。)、昭和五二年度ないし昭和五五年度が二億六九三四万七〇〇〇円(同じく課税客体たる土地面積の按分計算による。)である。

(三)  固定資産税課税標準額

(1) 本件更正(増額分)においては、本件土地の固定資産税課税標準額として、各年度ごとに、原判決添付物件目録(三)の5記載の「池之内六七六番一」の土地における一平方メートル当たりの固定資産税課税標準額(同土地の各年度における固定資産税課税標準額を同土地の面積で除した額)に本件土地の合計面積四万一六八四(平方メートル)を乗じた額を用いた。

(2) しかし、(甲)土地については、各筆ごとに、各年度別の固定資産税課税標準額が定められている(乙第一九号証の一ないし五。公衆用道路の分については零円)ので、税額の算出にはこれを用いるのが相当である。

3(一)  そこで、被控訴人は、申告分のほかに、第一次的には、本件土地の取得価額が売買契約書及び覚書の合計額であることを前提として、本件更正(増額分)は別紙「2更正による税額について(A)」により算出された税額の範囲、すなわち、昭和五一年度分は二八九万六二六〇円(税額は計算上三二六万二〇四〇円となり、本件更正の税額を超えるが、右更正の税額に減縮するものである。)、昭和五二年度分は二三七万一五七〇円、昭和五三年度分は二三〇万二六七〇円、昭和五四年度分は二一五万五八六〇円、昭和五五年度分は二〇五万七九七〇円の各限度で適法であると主張する。

(二)  また、第二次的には、同じく申告分のほかに、本件土地の取得価額が売買契約書記載の金額だけであることを前提として、本件更正(増額分)は別紙「2更正による税額について(B)」により算出された税額の範囲、すなわち、昭和五一年度分は二七五万二三〇〇円、昭和五二年度分は一九八万一一四〇円、昭和五三年度分は一九一万二二四〇円、昭和五四年度分は一七六万五四三〇円、昭和五五年度分は、一六六万七五四〇円の限度で適法であると主張する。

4  本件更正及びその通知手続には、重大かつ明白な瑕疵はなく、また本件更正を取り消さなければならないような瑕疵もない。

(一) 条例の制定について

控訴人は、地方税法所定の更正につき、市町村長は条例をもって通知書の記載要件等の手続を規定する義務があると主張する。

しかし、地方税法第三条第一項は、「その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならない。」と規定しており、右に列挙した四項目は条例による条文化が必要であるけれども、控訴人主張のような手続規定までをも条文化することは義務付けられていないのである。そして、函南町税条例第一条は、「町税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収については、法令その他別に定めがあるものの外、この条例に定めるところによる。」と規定し、特別土地保有税の税目等も規定されているところである。また、地方税法には、更正の通知に関し、その方式及び記載要件について何らの規定もない。したがって、更正の通知は、更正にかかる税額を通知すれば足りるのである。仮に、課税標準及び税率も記載しなければならないとしても、被控訴人は本件更正の通知において更正の課税標準、税率、税額等をも記載して通知したものである。

(二) 特別土地保有税については自己申告納税方式が採られているが、その理由は、同税の課税客体である土地又は土地の取得の状況及び課税標準である土地の取得価額等は納税義務者である土地の所有者又は取得者が最もよく承知しているものであるからである。控訴人は、従前、その所有土地につき同税の自己申告を行っていたが、本件土地については申告がなされていなかった。被控訴人は、本件土地が昭和四七年七月三一日に日本電建から控訴人に売却され控訴人が所有者となっていることが判明したので、昭和五六年二月二四日付け書面(乙第五号証)をもって控訴人に対し「昭和四七年七月三一日控訴人と日本電建との間で柏谷字池之内、池頭の土地の売買があったことが判明し、かつ、その土地の特別土地保有税が申告・納付されていないので、昭和五六年三月一〇日までに昭和五一年度ないし昭和五五年度の修正申告・納付をなすべき旨及び同期日までに修正申告・納付されない場合には地方税法第六〇六条により更正する。」旨を通知した。ところが、控訴人は右期日までに右修正申告・納付をしなかった。

そこで、被控訴人は控訴人に対し特別土地保有税の本件更正をし、昭和五六年三月三〇日付けで、「納付すべき金額」、「不申告加算金」、「納付期限」を記載した本件書面とともに、昭和五一年度ないし昭和五五年度の各年度ごとの課税標準額及び税額を記入した各修正申告書及び納付書・領収書を送付し(乙第六号証の一ないし一一。このうち二、四、六、八、一〇に本件土地の地番及び面積が概括的に記載されていたことは、前記2(一)(1)のとおりである。)、もって右各年度の特別土地保有税の更正を通知した。これに対し、控訴人は昭和五六年五月二五日被控訴人に対し右の本件更正につき異議の申立てをした。この異議申立てにおいて、控訴人は更正の通知の手続については何ら争わず、更正の内容及び更正の対象土地を十分了知していて、控訴人が本件土地の所有者又は取得者ではないから納税義務者ではないという点のみを主張して争ったのである。

更正の通知において、課税客体を特定して記載することは要件とされていないが、仮に記載要件であるとしても本件においては右要件を満たしているといえるし、そうでないとしても、瑕疵の程度は軽微であって控訴人に不利益を及ぼすものではなく、また、控訴人が異議申立てに際して更正の手続を承認・追認したことにより右手続の瑕疵は治癒されたものである。

(三) 仮に、本件更正に取り消すべき瑕疵があったとしても、本件土地が控訴人の所有に属することは既に確定されており、更正処分の手続等も整備されるに至っているのであるから、本件土地を課税客体として再更正を行うことにより、改めて本件各処分と同一の処分が適法になされることになる。したがって、本件各処分を取り消すことは行政目的の達成が煩瑣・不円滑となり、安定を著しく阻害する結果をもたらすだけであって、公の利益に著しい障害を生じ、公共の福祉に適合しないことになるから、行政事件訴訟法第三一条により、特別の事情による請求の棄却をすべきである。

(控訴人の認否及び主張)

1(一)  被控訴人の主張1(一)のうち、申告分にかかる本件更正の根拠(課税客体及び税額算出方法)が被控訴人主張(1(一)(1)の①file_9.jpg及び②file_10.jpg)のとおりであることは認めるが、その余は争う。

(二)  課税処分の取消訴訟の訴訟物は、課税処分の違法性一般、すなわち、処分の主体・手続・方法等手続上の違法及び処分の内容等実体上の違法のすべての面における違法性であり、換言すれば課税処分の適法要件の欠缺一般である。したがって、税額の存否に関する争いは、違法性一般のうち実体法上の違法性を特に問題とするものであって、税額の存否のみが訴訟物であるということはできない。

そして、所得税法のように、期間を区切り期間ごとに(暦年ごとに)その間に発生した各種所得を合算した総所得金額を課税標準としているものにあっては、総所得金額の認定が争われたときの審理の対象が、課税庁の処分の際に認定された課税事由の適否か(争点主義)、総所得金額に対する課税としての違法一般か(総額主義)について議論があり、判例通説は総額主義を採っているものと見られている。

ところが、特別土地保有税の課税客体は土地又はその取得であり(地方税法第五八五条、函南町税条例第一三一条)、一筆ごとの各土地が課税客体をなし、税額とその納税義務が一筆の土地ごとに発生するから、更正も一筆の土地ごとにしなければならない(本件のように、一通の文書で複数の課税客体に対する更正がなされた場合でも、それは各年度ごとに課税客体の数に応じた数個の更正がなされているのである。)。そして、特別土地保有税の算定の基礎となる各土地の固定資産税課税標準額は、課税庁である被控訴人の作成にかかる「固定資産・名寄台帳兼課税台帳」(乙第一九号証の一ないし五)の課税標準額によって一筆の土地ごとに一義的に決定されるものであるから、右価格の認定方法に関する違法性の有無は、一筆の土地ごとに右台帳記載の額と一致するか否かによって判断されるのである。かように、特別土地保有税の課税客体は一筆の土地であり、その課税主体は当該土地の所在する各市町村であるから、所得税の課税客体である所得総額の認定において問題とされる各種所得を合算した「総額」という概念は特別土地保有税についてはあり得ない。

したがって、本訴においては、本件更正につきその処分理由とは異なる新たな主張を追加したり、処分理由を差し替えたりすることは、許されない。

2(一)(1) 被控訴人の主張2(一)の(1)、(2)のうち、控訴人が昭和四七年七月三一日に日本電建から買い受けた土地の売買契約書に原判決添付物件目録(三)のとおりの土地の表示(面積合計四万一六八四平方メートル)があること、本件土地については、地目が宅地に変更済であり、控訴人と日本電建との間の訴訟において所有権が控訴人に帰属する旨確定されていること、控訴人が本件土地(後に(甲)土地となったもの)につき昭和六一年九月二九日受付により日本電建から昭和四九年一二月一一日売買を原因とする所有権移転登記を得ていること、控訴人が被控訴人のした本件土地(後の(甲)土地)についての昭和五六年度ないし昭和五九年度の特別土地保有税の更正に従って納税をしていることは認めるが、その余は争う。

file_11.jpg控訴人が日本電建から買い受けた土地の合計面積は四万六四九〇・一八六平方メートルが正しい。

file_12.jpg日本電建が本件土地につき農地転用許可を得た目的、控訴人が日本電建から本件土地を買い受けた目的、本件土地の造成工事の進捗の程度、農地法の立法趣旨等からすれば、本件売買契約に基づいて控訴人が本件土地の所有権を取得するについては、控訴人と日本電建が協力して利用目的の変更及び事業者の変更につき農林大臣(当時)の許可を得ることが前提条件となっていたのであり、そのため、本件売買契約においては、宅地造成工事の施工及び竣工検査の合格までは、事業者を日本電建のまま行い、その後に右各許可を得て事業者を控訴人名義に変更するとの特約が成立していたのである。しかるに、本件土地については、日本電建施工の造成工事に瑕疵があったため現在に至るも竣工検査に合格しておらず、利用目的及び事業者変更の許可申請について日本電建の協力が得られず、地目は宅地へと変更登記手続が完了されたものの、これも控訴人の不知の間になされたものにすぎず、控訴人は本件土地を一般顧客に宅地分譲するという初期の目的を達することができない状況にある。

特別土地保有税は、固定資産税と異なり台帳課税主義(地方税法第三四三条第二項)を採用せず、不動産取得税と同様に現実に所有権を取得した者を納税義務者として課する税である(同法第五八五条)。それ故、「土地」の「所有者」又は「取得者」というためには、単に売買契約の当事者(買主)となって契約を締結したというのみでは足りないのであって、当該土地に対する使用・収益その他権利の行使が可能となったときをもって「取得」したものというべく、このことは当該土地の担税力がいつ発生したかを考えれば自明の理である。したがって、控訴人のように、いまだ本件土地の使用・収益その他の権利の行使をなし得ない状態にある者をもって、本件土地を取得したということはできない。

更に、農地転用許可を受けた者が当該土地を長期に亙り転用目的に供しないということは、土地の有効利用及び農地法の趣旨からして看過し得ないものであるところから、農林当局は転用許可にかかる事業計画を促進するため、許可後の指導について通達(昭和五一年九月三〇日五一構改B第一九三八号農林事務次官通達・甲第五号証)を発し、現にこれに基づいた措置をとっている。右通達によれば、転用事業者は工事の進捗状況の報告をしなければならず、知事又は地方農政局長は、現地調査等によって転用事業の進捗状況を把握し、事業計画とおり工事が行われていないときは、速やかに工事に着手し又は完了するよう文書で催告をするが、右催告後も転用事業を完了させる見込みがなく、事業計画変更を承認できないときは、農地法第八三条の二の規定による許可の取消し等の処分を行うのである。

本件土地の農地転用許可に当たっても、日本電建に対し、転用許可申請書記載の建売住宅用地造成事業計画に基づく事業の用に供しないときは、本件土地の転用許可を取り消すとの条件が付されている。そして、静岡県知事は、日本電建及び本件土地の隣接地の所有者である控訴人に対し、工事の促進等の催告を発しており、このまま本件土地の工事が進捗せず事業者変更の承認に関する手続も行われないときは、本件土地についての農地転用許可が取り消されることは必至であり、この点も控訴人による本件土地所有権取得の有無に重大な影響を及ぼすものである。

file_13.jpg被控訴人は控訴人に対し、昭和五九年一二月一二日付け更正通知をもって(甲)土地について昭和五六年度ないし昭和五九年度の特別土地保有税につき更正を行い、かつ、その徴収のためとして控訴人所有の他の土地(函南町柏谷字山崎六九四番六の山林一六三平方メートルほか六筆)の差押えを行った。控訴人は、(甲)土地が当時まだ控訴人の所有に帰属していなかったことを理由として異議申立てを行い、更に右更正の無効確認及び取消しを請求する訴訟を提起した。しかし、控訴人は、右の被差押え物件につき既に株式会社三枝工務店との間で売買契約を締結し昭和六一年二月末日限り引き渡すべき義務を負担していて、右義務を履行するためには差押えを解放する必要があったため、やむなく右更正にかかる特別土地保有税を納付して訴訟を取り下げたのであり、控訴人は(甲)土地の所有権の帰属を認めたものではないのである。

(2) (甲)土地は、本件土地を分筆・合筆した土地そのものではなく、本件土地から分筆されたものの一部で(甲)土地に含まれないもの、本件土地以外の土地が(甲)土地の一部に合筆されたもの、国土調査の結果により地積の増減が生じたもの、更に本件土地の一部が道路用地として課税対象外となったもの等があるのである。

file_14.jpg別紙関連表によると、本件土地55、57、58の三筆の土地(池頭七三九番二、同七八七番二、同七八七番四)が昭和四九年一二月一一日に同七三一番二に編入され合筆されたとあるが、同日池頭七三一番二に編入された土地は右三筆のほかに本件土地には含まれていない池頭七三九番三の土地も含まれている。

file_15.jpg別紙関連表によると、本件土地47のほか51ないし60を合筆して池頭七三一番二とし、昭和四九年一二月一一日に池頭七三一番二の土地を池頭七三一番二ないし一〇に分筆したとあるが、誤りである。同日池頭七三一番二の土地は池頭七三一番二ないし一四に分筆されたのであり、右関連表には右分筆された土地のうち池頭七三一番一一ないし一四の土地が脱落している(池頭七三一番一一ないし一四の土地は、本件土地の一部であるが、(甲)土地には含まれていないのである。)。

file_16.jpg別紙関連表によると、昭和四九年一二月一一日に合筆した池之内六七六番一の土地を昭和五〇年一一月一〇日に同六七六番一及び六七六番一八ないし四〇に分筆したとあるが、これも誤りである。右のように分筆したのは昭和四九年一二月一一日である。そして、昭和五〇年一一月一〇日には、池之内六七六番一を同六七六番一、同六七六番三九及び四〇の三筆に分筆すること、同六七六番三三を六七六番三三及び同番四一ないし四三に分筆することが行われたほか、同日池之内六七六番一、六七六番一八ないし四三の土地全部について国土調査による成果に基づいて地積の増減の登記が行われている。なお、池頭七三一番二ないし九、一五の土地についても昭和五〇年一一月一〇日国土調査による成果に基づいて地積の増減が行われている。

file_17.jpg本件土地のうち、(甲)土地の16、19の(A)(B)、21及び22、34の(A)(B)、37に相当する土地は、昭和五二年度以降は公衆用道路として課税対象外とされたが、被控訴人のした本件更正においては右土地をも課税客体に含めている。

(二)  被控訴人の主張2(二)のうち、日本電建と控訴人との間の本件土地の売買契約書に売買代金額として三億一五二二万五〇〇〇円と記載されていること及び昭和五二年度以降分において公衆用道路となった土地が特別土地保有税の課税客体から除外されるべきであることは認めるが、その余は争う。

本件土地の取得価額は、売買契約書(乙第一号証)の金額に覚書(乙第二号証)による追加金額を合算した三億五一六三万五五〇〇円であるから、本件更正における取得価額の認定は誤っている。また、被控訴人主張のような按分による計算方法は、本件土地のうち一部の土地に関する面積の増加による増加金額を課税客体の面積に按分して加算することになり、真実の取得価額とは異なる数額となっている。

(三)  被控訴人の主張2(三)のうち、(甲)土地の各筆ごとの各年度別固定資産税課税標準額が被控訴人作成の固定資産・名寄台帳兼課税台帳(乙第一九号証の一ないし五)に定められているとおりであることは認める。本件更正(増額分)において被控訴人が用いた本件土地の固定資産税課税標準額を税額算定の基礎とすることは、課税客体と異なる土地の固定資産税課税標準額を用いるに等しく、また、固定資産等台帳に定められた価額と異なる価額を算定基礎とするものであって、違法である。

3  本件更正は、以上のように、課税客体、取得価額及び固定資産税課税標準額を誤っており、違法であるばかりでなく、手続的にも重大明白な瑕疵又は取り消し得べき瑕疵があり、無効又は取り消すべきものである。

(一) 更正は、納税義務を確定する行政処分として文書による要式行為であり、更正の存否及びその内容は更正の通知書の記載自体によって特定され処分内容を認識し得るものでなければならない。すなわち、市町村長が地方税法第六〇六条第四項及び当該市町村の定める条例に基づいて特別土地保有税の更正通知書を納税義務者に交付することは、これによって不足税額の納税義務を納税義務者に賦課する行為である。不服申立てを許す課税処分においては、処分庁の恣意性を排し処分の慎重を期させ、不服申立ての結果に対する予測可能性を与えるため、その通知書の記載自体において課税の法的根拠・課税客体・税額算定の基礎等その処分内容を納税者に客観的に認識させることが基本原則とされている(地方税法第一条第一項第六号参照)。したがって、課税客体である一筆の土地ごとに各年度ごとに納税義務の発生する特別土地保有税の更正に当たっては、その通知書によって各年度ごとにその課税客体たる土地を地番・地積によって特定したうえ各土地ごとの課税標準額その他算定の根拠及び税額を明示し、その内容を納税義務者に認識させなければならない(なお、特別土地保有税と性格が類似する固定資産税の納税通知書においては、同一納税義務者ごとに同一市町村に所在する課税客体たる土地・建物について、それぞれ土地の価格の合計額と建物の価格の合計額が記載され、かつ、これに対する税額が記載されるのであるが、固定資産税については、地方税法第四一五条の規定により毎年三月一日から二〇日までの間、各土地の所在・地目・地積及び価格等を一筆ごとに記載した固定資産課税台帳が予め公示され閲覧に供され、これに対する不服申立てを許す手続的保証があるため、右のような一括合計価格の表示による賦課処分が許されているのであり、縦覧の制度のない特別土地保有税における更正・決定について右と同様の表示で足りるとすることはできない。)。このため、自治省は、昭和四九年二月一日付け市町村税課長内かんにより、更正の処分内容を納税者に認識させるため必要な事項を記載した様式(甲第八号証。但し一筆の土地に関するものである。)を定め、市町村税条例施行規則において右様式による更正通知書の定めを制定するよう指導しており、被控訴人も函南町税条例施行規則(昭和五七年四月一日施行)第一六条(一三)項において、更正の通知書の様式を定め、通知書自体によって処分内容を納税者に明示する義務のあることを認めているのである(乙第一〇号証)。

(二) ところが、本件書面には、課税客体たる土地の記載もないし、各年度ごとの課税標準額及び税額の記載もないのであり、更正通知書とは全く別の昭和五六年二月二四日付け書面や本件土地の売買契約書が更正の内容となり得ないことはいうまでもないから、本件更正の通知書自体からは本件更正の内容を認識するに由ないものである。右の昭和五六年二月二四日付け書面の記載によっても、それが本件土地を指しているのかどうか、本件土地の全部を指しているのかどうか、更には右売買契約書ないし控訴人と日本電建間の判決(乙第三号証。但し、同号証には物件目録が欠落している。)の対象土地と同一なのかどうかという具体的な特定・判断が不可能である。また、本件書面に同封されたという修正決定と題する書面(乙第六号証の二、四、六、八、一〇)の記載も、対象土地の特定のないままで年度ごとに一括した課税標準額・固定資産税課税標準額・税率・算出税額を掲げてあるだけであるから、これによっても更正の課税客体及び当該課税客体ごとの課税標準額や税額等は特定されていない。右の記載において、本件土地の取得価額、固定資産税課税標準額の記載にも誤りがあることは、前記のとおりであり、この点においても本件更正は更正処分としての要件を欠いているものである。右の誤りが、税額の算定上控訴人に不利益となっていないとしても、更正処分の要件を欠くことを不問に付すべきではない。

(三) 被控訴人は、本件更正の課税客体は(甲)土地であると主張を訂正したが、別紙物件目録(甲)記載の昭和五一年度分の土地は三七筆、昭和五二年度ないし昭和五五年度分は三一筆となっているのに対し、本件土地は六六筆あり、かつ右目録記載の土地は本件土地とは地番・地積を異にし、表示としての同一性を欠いており、結局、本件書面から本件更正の課税客体が右目録記載の土地であると特定・断定することは不可能であるし、本件土地の地積に基づいて各年度の税額を示した本件書面及び同封の修正決定と題する書面の記載もすべて実際とは相違していることになる。

(四) 控訴人は、本件更正に対する異議申立てにおいては、申告分の土地以外の土地の取得・保有を否認して更正処分が違法であると主張したが、そうであるからといって本件更正の手続につき異議がないものとしたわけではない。そして、控訴人は、本訴においては、右の異議事由のほかに更正の手続上の瑕疵をも違法事由として主張しているのである。抗告訴訟における違法事由の主張について、異議申立て理由に拘束されこれに制限されるという根拠はない。また、控訴人は、本件更正における手続上の瑕疵について、これを承認し瑕疵を追認した事実もないし、課税庁の単独行為でかつ不利益行政処分たる更正処分について追認の法理を適用する余地はない。

(五) 被控訴人は、本件更正処分につき、将来適法なやり直し処分が行われることになるだけであるから本件更正処分を取り消すことは公共の福祉に適合しないので、行政事件訴訟法第三一条により請求を棄却すべきであると主張するが、本件更正処分の取消し後に更正処分のやり直し処分が行われるかどうかは全く未確定な事柄であり、かかる未発生の処分を前提として原処分の効力を判断することは許されない。仮に、やり直し処分が行われるとしても、該処分が適法・有効かどうかは不明である。いずれにしても、本件訴訟は、既になされた更正処分に違法性が存するか否かが審判の対象であり、後発的な新たな処分によって影響を受けるべきものではなく、被控訴人の主張は失当である。

理由

一請求原因1の事実(控訴人が、昭和五一年度から昭和五五年度までの各年度の特別土地保有税を、その主張のとおり申告納付したこと。)、同2の事実(被控訴人が控訴人に対し、昭和五六年三月三〇日付けで、本件各処分すなわち昭和五一年度から昭和五五年度までの各年度分の特別土地保有税を、右申告分以外に、合計一三一六万一二二〇円増額する旨の更正(以下「本件更正」といい、本件更正のうち申告分を超える部分を「増額分」という。)及び過少申告加算金(但し、表示は不申告加算金としたもの)を六五万七九〇〇円とする賦課決定をしたこと。)及び同3の事実(控訴人が昭和五六年五月二五日本件各処分につき被控訴人に対し異議申立てをしたが、被控訴人が同年六月二〇日異議申立てを棄却する旨の決定をし同決定書が同月二二日に控訴人に送達されたこと。)は、当事者間に争いがない。そこで、以下、本件更正の効力について判断する。

二控訴人は、被控訴人が地方税法第六〇六条所定の更正の手続を定める条例・規則を制定しなければ、特別土地保有税の更正処分そのものを適法に行うことができないと主張する(請求原因5(三))が、地方税法第二条は「地方団体は、この法律の定めるところによって、地方税を賦課徴収することができる。」と規定したうえ、同法第三条は第一項において「地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならない。」と、第二項において「地方団体の長は、前項の条例の実施のための手続その他その施行について必要な事項を規則で定めることができる。」と規定しているところであり、一方、〈証拠〉によれば、函南町税条例(昭和二九年八月六日条例第五号、昭和四八年七月二七日条例第二八号による改正後のもの。)においても特別土地保有税に関する税目、課税客体、納税義務者、課税標準、税率、税額、申告納付の方法その他の徴収方法について規定しているほか、その第一条において「町税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収については、法令その他別に定があるものの外、この条例の定めるところによる」と規定して、地方税法等の規定を包括的に取り入れていることが認められる。そして、特別土地保有税にかかる更正の手続及び効果については、地方税法第六〇六条等(総則を含む。)に若干の規定があるが、その性質上、各地方団体が右規定の全部又は一部につき取捨判断を加えることは原則として許されていないと解するほかはない。したがって、地方税法所定の更正に関する規定は、そのまま函南町税の賦課徴収にも適用されるのであるから、本件更正の当時に函南町の条例ないし規則において更正の方式及び通知書の記載事項等の手続の細則が定められていなかったとしても(〈証拠〉によれば、これらが函南町税条例施行規則において定められたのは、昭和五七年三月一九日である。)被控訴人が本件更正を適法に行うについて、何ら法律上の支障はなかったというべきである(但し、地方団体が徴税事務を円滑・適正に行い、かつ、納税者の便宜のために、予め手続細則を定めておくのが望ましいことはいうまでもないところであり、これを欠いたために更正処分の内容等に不明確な点が生じ紛争を招いたような場合には、地方税法所定の延滞金額の減免事由に該当することがあり得ると考えられる。)。

三本件更正のうち、申告分においては、(1) 課税客体が、昭和五一年度は原判決添付物件目録(一)記載の土地であり、昭和五二年度ないし昭和五五年は原判決添付物件目録(二)記載の土地(但し、同目録中58ないし63を除く。)であること、(2) 右各土地の取得価額の合計額が、昭和五一年度は一億五三一五万二〇〇〇円であり、昭和五二年度ないし昭和五五年度は九七四五万八〇〇〇円であること、(3) 右各土地の固定資産税課税標準額の合計額が、昭和五一年度は一九三七万一〇〇〇円、昭和五二年度及び昭和五三年度は一八五三万八〇〇〇円、昭和五四年度は二一三九万五〇〇〇円、昭和五五年度は二二六九万二〇〇〇円であることは、いずれも当事者間に争いがなく、地方税法第五九六条第一号所定の算出方法((2)の金額×一・四%―(3)の金額×一・四%=税額)により算出され控訴人が申告納付した各年度分の税額は、請求原因1記載のとおりである。

被控訴人は、本件更正のうち増額分においては、(1) 課税客体が、各年度とも原判決添付物件目録(三)記載の本件土地であり、(2) 本件土地の取得価額の合計額が、各年度分とも三億一五二二万五〇〇〇円であり、(3) 本件土地の固定資産税課税標準額の合計額が、昭和五一年度が一億〇八三四万九〇〇〇円、昭和五二年度が一億一九一八万四〇〇〇円、昭和五三年度が一億二五〇五万二〇〇〇円、昭和五四年度が一億三七五五万八〇〇〇円、昭和五五年度が一億四五八九万四〇〇〇円であると主張し、かつ、右数額に基づいて前同様の算出方法により算出される各年度分の税額は、昭和五一年度分が二八九万六二六〇円、昭和五二年度分が二七四万四五七〇円、昭和五三年度分が二六六万二四二〇円、昭和五四年度分が二四八万七三四〇円、昭和五五年度分が二三七万〇六三〇円(右合計額は一三一六万一二二〇円)であると主張する。

そこで、次項において、右の増額分における課税客体が控訴人の所有に属するかどうかという実体上の問題を検討する。

四控訴人が昭和四七年七月三一日に日本電建との間において本件土地を買受け対象土地として売買契約を締結したこと、これに先立つ昭和四五年六月一六日に日本電建は本件土地につき農地法第五条に基づく転用許可を得ていたこと、その後、本件土地については大部分が合筆の手続を経たうえ、すべて地目が宅地に変更済みであり、控訴人と日本電建との間の訴訟においても右土地(その後更に分・合筆の手続がなされたもの)の所有権が控訴人に帰属する旨が確定しており、昭和六一年九月二九日受付けにより控訴人が日本電建から売買を原因として所有権移転登記を得ていることは、いずれも当事者間に争いがなく、右事実と、〈証拠〉を総合すれば、原判決九枚目表初行から同一一枚目裏四行目までの事実(但し、(一) 原判決九枚目表九行目の「本件土地」の次に「(面積合計四万一六八四平方メートル)」と、同裏三行目の「実測のうえ」の次に「四八〇六・一八平方メートル(一四五六・四二坪)の面積の増加を確認して、」と、同六行目の「残金」の次に「(増額精算分を含む。)」とそれぞれ加える。(二) 原判決一〇枚目表九行目の「いる。」を「いた。」と改め、同裏九行目の「証拠はない。」に続けて、「もっとも、原審証人中原肇の証言の一部及び弁論の全趣旨によれば、控訴人と日本電建との間において、本件土地の開発工事の完了までは事業者名義を日本電建のままにしておくとの合意があったものと推認することは可能であるが、それが実体上の所有権の留保までをも意味する特約であるとは認めるに足りないのである。」を加える。(三) 原判決一一枚目表二行目「代金を完済し、」に続けて、「控訴人が引渡しを受けて宅地造成工事を施工し、」を加える。(四) 原判決一一枚目裏初行の「認められる」の次に、「(なお、成立に争いのない甲第六号証の一、二によれば、控訴人の所有であることに争いのない原判決添付物件目録(一)、(二)の土地等について農林関係当局から控訴人に対して、昭和五四年一〇月一八日付けの書面をもって農地転用許可の取消処分を行う予定がある旨の警告が発せられた事実が認められるが、現実にその取消処分が行われた形跡はないし、仮に右取消処分が行われたとしても、控訴人が従前当該土地を取得し保有していた事実が無くなるというものではない。)」と付加する。)が認められるから、これをここに引用する。

そうすると、控訴人が日本電建から買い受けた本件土地が控訴人の所有に属するものとして、これを控訴人を納税義務者とする特別土地保有税の課税客体としたこと自体には、何らの違法はない。

五そこで、本件更正の手続の適法性について検討するに、被控訴人が控訴人に対し「特別土地保有税(保有分)の修正決定について(通知)」(甲第一号証。納付すべき税額総額・納付期限・納付先が記載されている。)と題する本件書面をもって本件更正の通知をしたことは当事者間に争いがないが、当裁判所も、本件更正の手続には無効原因または取消事由に該当すると認めるに足りる違法はないと判断するものであって、その理由は原判決理由三の1ないし3の説示(原判決一二枚目表八行目から原判決一五枚目表九行目まで)と同一であるから、これを引用する(但し、(一) 原判決一二枚目裏四行目「昭和五六年二月二四日付書面」の次に「(甲第二号証の一ないし一二、乙第五号証)」と、原判決一三枚目表六、七行目の「修正申告書五通」の次に「(乙第六号証の二、四、六、八、一〇)」とそれぞれ加え、同裏五行目から八行目までを削除する。(二) 原判決一四枚目裏五行目の「支払」を「立替支払分の償還」と、同一〇行目の「各年度毎の」から原判決一五枚目表三行目の「認められる。」までを「各年度毎の課税対象土地(課税客体)、取得価額、固定資産税課税標準額、税率、算式、税額が記載されている(すなわち、① 課税対象土地は、各年度ともに、「譲渡した者・日本電建」「地番・676〜1外」「面積・41,684」として、原判決添付物件目録(三)の5の土地の地番を代表に掲げたうえ日本電建との売買契約書記載の本件土地の合計面積が記載されている。② 取得価額は、各年度ともに、右売買契約書記載の売買代金三億一五二二万五〇〇〇円が記載されている。③ 固定資産税課税標準額は、前記三の後段(増額分)の(3)に記載したとおりの各年度毎の合計額が記載されている。)ことが認められる。」と、それぞれ訂正する。(三) 原判決一五枚目表三行目の「認められる。」(右(二)による訂正後のもの。)の次に「また、控訴人が本件更正(形式は修正決定)につき被控訴人に対して異議の申立てをしたことは前記のとおりであるが、原本の存在及び成立に争いのない乙第七号証によれば、控訴人は右異議事由として本件土地が日本電建の所有であって未だ控訴人の所有とはなっていない旨を主張したのであり、その際に修正決定の形式では更正とはいえないとか課税対象土地が不明ないし不特定である等の主張はしていないことが明らかである。」と、同六行目の「本件更正には、」の次に「形式及び記載内容において」とそれぞれ付加する。(四) 原判決一五枚目表九行目の「理由がない。」に続けて、「なお、特別土地保有税の更正においても、処分内容を明確にするため、課税客体となる一筆の土地ごとの地番・地積による特定をし、その取得価額・固定資産税課税標準額・税率・算出方法・税額を明示することは望ましいことであり、前記乙第一〇号証、成立に争いのない甲第九ないし第一二号証によれば、函南町においても昭和五七年四月一日施行の函南町税施行規則第二四条(13)項により更正通知書の様式を定めてこれを実行するに至っていることが認められる。しかし、本件のように、多数の土地を一括して買い受け個々の土地ごとの代金額が明らかでない場合などにおいては、土地の取得価額は全体の土地のそれを表示するか又は代金総額を各土地の面積に按分して割り付けて表示するほかはないし、地方税法第五九五条、第五九九条の規定によると、特別土地保有税の課税標準額は、納税義務者が同一市町村内で所有する一定面積以上の土地(非課税地を除く)の取得価額の合計額であり、同法第五九六条の規定によると、その税額は右課税標準額に税率を乗じて得た額から当該土地の固定資産税課税標準額に百分の一・四を乗じて得た額の合計額を控除した額であると定められているのであるから、右記の規則が未施行であった当時において、更正の課税客体として複数の土地全体が特定し得る程度に概括的に表示し、その取得価額を合計額をもって表示したとしても、ひっきょう、地方税法所定の更正として不適法ないし違法であるということはできない。」と付加する。)。

六被控訴人は、当審において、本件更正のうち増額分の根拠についての主張を追加変更するのに対し、控訴人は、特別土地保有税の更正についての抗告訴訟においては処分理由を差し替えることは許されないと主張する。

なるほど、特別土地保有税は、課税客体たる土地の取得ないし保有に対して課されるものであり、土地の取得価額及び固定資産税課税標準額は一筆の土地ごとに定まるものであるし、当該土地が非課税地かどうかも当該土地ごとに決せられるものであって、一筆の土地ごとに税額が発生すると解することができるけれども、前記地方税法第五九五条、第五九六条、第五九九条等における同税の課税標準額及び税額に関する規定の態様や基準面積についての規定等からすると、ある年度分の同税の更正(同法第六〇六条)に対する抗告訴訟においても、更正によって示された税額の総額が、当該年度における当該納税義務者の保有する土地の取得価額の合計額(課税標準額)を基礎として所定の算出方法に従って客観的に算出される税額を超えるかどうかが訴訟物となると解することができるのであり、課税客体たる土地の特定、その取得価額及び固定資産税課税標準額は、右税額算出の根拠となる攻撃防禦方法として、更正の際の根拠とされたそれに拘束されることなく、主張立証を追加変更することがゆるされると解する。

したがって、更正の処分理由の追加変更が許されないことを前提として、本件更正における課税客体・取得価額及び固定資産税課税標準額の表示の誤りにより本件更正が無効又は取り消し得べきものであるとする控訴人の主張は、いずれも失当である。

以下、被控訴人主張の本件更正の増額分の根拠について検討する。

(一)  課税客体

(1)  控訴人が昭和四七年七月三一日に日本電建から買い受けて所有権を取得した本件土地が、控訴人の所有に属するものとして、控訴人を納税義務者とする特別土地保有税の課税客体となること、その実測面積が合計四万六四九〇・一八平方メートルであることは、前認定のとおりであるが、〈証拠〉によれば、本件土地については、その後、おおむね別紙関連表記載のような経過(但し、次の諸点を補充訂正する。)による合筆、分筆、地目変更が行われ、かつ地積訂正がなされたことが認められる。

① 別紙関連表中「昭和50年12月10日」とあるうち「12月」とあるのを「11月」と訂正する。

② 昭和四九年一二月一一日に池之内六七六番一に合筆された土地(三万四一九〇・三八平方メートル)は、file_18.jpg同日、同番一及び同番一八ないし三八に分筆され、file_19.jpg右の同番一の土地が昭和五〇年一一月一〇日に同番一、同番三九及び四〇に分筆され、file_20.jpg同日、同番三四、三五、三六の土地がそれぞれ同番三二、二四、二五の土地に合筆された。

③ 昭和四九年一二月一一日に池頭七三一番二に合筆された土地は、七三九番二(55)、七八七番二(57)、七八七番四(58)のほかに日本電建名義の七三九番の土地(この土地が控訴人の所有に属することの証明はない。)も含まれているが、右七三九番三の土地は本件土地以外の土地であり、同土地の面積は計算上七九平方メートルである。そして、右の池頭七三一番二の土地(五八一〇平方メートル)は、同日、同番の二ないし一四に分筆された(但し、同番の一一ないし一四は、(甲)土地には含まれていない。)が、右分筆の経緯の詳細は不明であって、右七九平方メートル分が分筆後の七三一番二(その後の分筆による同番の一五及び一六を含む。)ないし一〇の土地のいずれかに含まれている可能性がある。

④file_21.jpg池之内六七六番三二の宅地は、前記のように同番三四の土地を合筆し地積(二〇六・二四平方メートル)の訂正もなされた後、昭和五〇年四月一日が地目が公衆用道路と変更され、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(地積二〇六平方メートル)がなされた。file_22.jpg池之内六七六番三三から分筆された六七六番四一の宅地(地積二五三・六九平方メートル)は、昭和五〇年四月一日に地目が公衆用道路と変更され、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(地積二五三平方メートル)がなされた。file_23.jpg池之内六七六番三八の宅地(地積七二五六・三七平方メートル)から昭和五一年二月一六日分筆された同番三八及び四四の土地は、その分筆前の昭和五〇年四月一日に地目が公衆用道路と変更されており、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(各地積六一一六平方メートル及び一一三九平方メートル)がなされた。file_24.jpg池之内六七六番四〇の宅地(地積六一六・七一平方メートル)は、昭和五〇年四月一日に地目が公衆用道路と変更され、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(地積六一六平方メートル)がなされた。file_25.jpg池頭七三一番一〇の宅地(左記分筆前の登記簿の提出がないが、地積は少なくとも二二〇九・二六平方メートルであった。)から昭和五一年二月一六日分筆された同番一六の土地(地積九〇三・二六平方メートル)は、その分筆前の昭和五〇年四月一日に地目が公衆用道路と変更され、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(地積九〇三平方メートル)がなされ、同じく七三一番一〇の宅地から分筆された同番一〇の土地(地積一三〇六平方メートル)については、公衆用道路に地目が変更された時期が不詳であるが、右同番の一六の土地と同時であると推認される。file_26.jpg池頭七三二番二の宅地(地積一四〇・八六平方メートル)は、昭和五〇年四月一日に地目が公衆用道路と変更され、昭和五一年二月二一日その旨の変更登記(地積一四〇平方メートル)がなされた。

⑤ 池頭七二四番一の宅地は、昭和六二年一月二九日に錯誤を理由として地積が七八〇・二五平方メートルと訂正された。

(2)  結局、本件土地は、以上認定の分筆、合筆、地目変更、地積訂正の結果として、別紙物件目録(甲)記載の(甲)土地となったものである。但し、前記のとおり、① 本件土地の一部に属していた池頭七三一番一一ないし一四は(甲)土地には含まれていない、② (甲)土地中、25の池頭七二四番一の土地の地積を七八〇・二五平方メートルと訂正する、③ (甲)土地中、34の池頭七三一番一〇の土地の地積(但し、昭和五一年度のみ)を二二〇九・二六平方メートルと訂正する。④ 池頭七三一番二ないし一〇、一五及び一六の地積中、それぞれ七九平方メートルの部分は控訴人の所有に属さない可能性がある(どの土地に右七九平方メートルの全部又は一部が含まれているかを確定することはできない。)から、控訴人所有地の面積の計算上これを右各土地の地積から差し引くほかはない(地積が七九平方メートル以下の土地の地積は零として計算する。)。

(3)  (甲)土地のうち、16、19の(A)(B)、21、22、34の(A)(B)、37の土地が、昭和五二年度ないし昭和五五年度においては公衆用道路として特別土地保有税の課税客体から除外すべきものであることは、当事者間に争いがない。

(4)  そうすると、控訴人を納税義務者とする昭和五一年度ないし昭和五五年度における特別土地保有税の課税客体は、(甲)土地であるが、その地積は、右(2)及び(3)の操作を加えると、昭和五一年度分においては合計四万四六五九・〇〇平方メートルとなり、昭和五二年度ないし昭和五五年度においてはいずれも三万四〇五五・一一平方メートルとなる。

(二)  取得価額

(1)  控訴人が日本電建から買い受けた本件土地の実測面積が合計四万六四九〇・一八平方メートルであり、売買代金額が合計三億五一六三万五五〇〇円であったことは、前認定のとおりであり、これによれば、本件土地の一平方メートル当たりの単価は七五六三円(円未満切捨て)となるが、本件に顕われた全証拠によっても、これ以上に各土地の個別の売買代金額を知ることはできない。したがって、各年度における前記課税客体の取得価額の合計額(課税標準額)は、その地積に右単価を乗じた数額とするのが相当である。

(2)  そうすると、昭和五一年度分の取得価額は、三億三七七五万六〇〇〇円(取得価額及び固定資産税課税標準額については千円未満切捨て)であり、昭和五二年度分ないし昭和五五年度分のそれは、いずれも二億五七五五万八〇〇〇円である。

(三)  固定資産税課税標準額

(1)  (甲)土地の各筆ごとの各年度別固定資産税課税標準額が被控訴人作成の固定資産・名寄台帳兼課税台帳(乙第一九号証の一ないし五)記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。

(2)  これによると、昭和五一年度分の固定資産税課税標準額は一億一八六三万二〇〇〇円、昭和五二年度分は九九九四万九〇〇〇円、昭和五三年度分は一億〇四八七万円、昭和五四年度分は一億一五三五万七〇〇〇円、昭和五五年度分は一億二二三四万九〇〇〇円である。

七そこで、前項認定の増額分の各年度における取得価額及び固定資産税課税標準額と、前記(三項前段)申告分の取得価額、固定資産税課税標準額及び申告納付税額とに基づき、地方税法第五九四条、第五九六条第一号の規定に従って、控訴人が納付すべき各年度ごとの特別土地保有税の税額の総額を算出し、かつ、その算出税額と申告分との差額を計算すると、次のとおりである。

年度  税額の総額 申告分との差額

昭和五一年度 四九四万〇六七〇円 三〇六万七七四〇円

昭和五二年度 三三一万一四〇〇円 二二〇万六五二〇円

昭和五三年度 三二四万二五一〇円 二一三万七六三〇円

昭和五四年度 三〇五万五六九〇円 一九九万〇八一〇円

昭和五五年度 二九三万九六五〇円 一八九万二九三〇円

これに対し、被控訴人が主張する本件更正における各年度ごとの増額分は、左記の「本件更正の増額分」のとおりであり、このうち右認定の「申告分との差額」を超過する額(左記の「超過額」)の分については、本件更正は根拠を欠き違法であって、取消しを免れない。

年度  本件更正の増額分  超過額

昭和五一年度 二八九万六二六〇円 〇円

昭和五二年度 二七四万四五七〇円 五三万八〇五〇円

昭和五三年度 二六六万二四二〇円 五二万四七九〇円

昭和五四年度 二四八万七三四〇円 四九万六五三〇円

昭和五五年度 二三七万〇六三〇円 四七万七七〇〇円

(申告分を含む本件更正の全体についていえば、本件更正は、昭和五一年度分は申告分(請求原因1)と右「本件更正の増額分」との合計額全額が適法であるが、昭和五二年度分ないし昭和五五年度分は、いずれも申告額と右「申告分との差額」との合計額の範囲内においては適法であるけれども、これを超える部分は違法である。)

八なお、原判決中、本件過少申告加算金の賦課決定の無効確認請求を認容した部分については、被控訴人から控訴ないし附帯控訴の提起もないから、当裁判所はこの点につき判断を加える余地がない。

九以上のとおりで、控訴人の本訴請求中、本件更正の無効確認を求める主位的請求は理由がないから棄却すべきであるけれども、本件更正のうち申告分の税額を超える部分の取消しを求める予備的請求は、昭和五一年度分については理由がないが、昭和五二年度分ないし昭和五五年度分については申告分の税額に前記七項の「申告分との差額」を加算した額を超える部分に限り理由があり、その限度でこれを認容しその余は棄却すべきであって、本件控訴は右の限度で理由があるから、右と異なる原判決主文第二項を右のとおりに変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官森 綱郎 裁判官友納治夫 裁判官小林克已)

別紙物件目録(甲)

1 田方郡函南町柏谷字池之内六七六番一

宅地  三二二〇・六七平方メートル(乙第十五号証の一)

2 同所六七六番一八

宅地  一三六〇・八九平方メートル(乙第十五号証の二)

3 同所六七六番一九

宅地  一二六四・三二平方メートル(乙第十五号証の三)

4 同所六七六番二〇

宅地  四二七・八三平方メートル(乙第十五号証の四)

5 同所六七六番二一

宅地  三〇三六・八二平方メートル(乙第十五号証の五)

6 同所六七六番二二

宅地  九七四・一八平方メートル(乙第十五号証の六)

7 同所六七六番二三

宅地  一三四二・六三平方メートル(乙第十五号証の七)

8 同所六七六番二四

宅地  七七九・七一平方メートル(乙第十五号証の八)

9 同所六七六番二五

宅地  二一六五・六五平方メートル(乙第十五号証の九)

10 同所六七六番二六

宅地  四九六・四一平方メートル(乙第十五号証の一〇)

11 同所六七六番二七

宅地  一四二五・二九平方メートル(乙第十五号証の一一)

12 同所六七六番二八

宅地  一四三八・七二平方メートル(乙第十五号証の一二)

13 同所六七六番二九

宅地  八五三・八九平方メートル(乙第十五号証の一三)

14 同所六七六番三〇

宅地  一九五八・九一平方メートル(乙第十五号証の一四)

15 同所六七六番三一

宅地  一一七三・六九平方メートル(乙第十五号証の一五)

16 同所六七六番三二

宅地  二〇六平方メートル(乙第十五号証の一六)

昭和五一年二月二一日公衆用道路に地目変更登記され、昭和五二年度より道路。

17 同所六七六番三三

宅地  一〇六七・八六平方メートル(乙第十五号証の一七)

18 同所六七六番三七

宅地  四八・八八平方メートル(乙第十五号証の一八)

19 同所六七六番三八

宅地  七二五六・三七平方メートル(乙第十五号証の一九)

※この土地は昭和五二年度以下は分筆されて左の様になる。

(A)同所六七六番三八

道路  六一一六平方メートル(乙第十五号証の一九)

(B)同所六七六番四四

道路  一一三九平方メートル(乙第十五号証の二五)

20 同所六七六番三九

宅地  二二九五・九五平方メートル(乙第十五号証の二〇)

21 同所六七六番四〇

宅地  六一六・七一平方メートル(乙第十五号証の二一)

※昭和五一年二月二一日公衆用道路に地目変更登記され、昭和五二年度分より道路。

22 同所六七六番四一

宅地  二五三・六九平方メートル(乙第十五号証の二二)

※昭和五一年二月二二日公衆用道路に地目変更登記され、昭和五二年度より道路。

23 同所六七六番四二

宅地  一四九七・一三平方メートル(乙第十五号証の二三)

24 同所六七六番四三

宅地  七八四・〇六平方メートル(乙第十五号証の二四)

25 田方郡函南町柏谷字池頭七二四番一

宅地  一〇五七平方メートル(乙第十五号証の二六)

26 同所七三一番二

宅地  一一〇四・二七平方メートル(乙第十五号証の二七)

27 同所七三一番三

宅地  四〇・一九平方メートル(乙第十五号証の二八)

28 同所七三一番四

宅地  八九七・五〇平方メートル(乙第十五号証の二九)

29 同所七三一番五

宅地  二一三・六六平方メートル(乙第十五号証の三〇)

30 同所七三一番六

宅地  三一・八三平方メートル(乙第十五号証の三一)

31 同所七三一番七

宅地  一九六五・七三平方メートル(乙第十五号証の三二)

32 同所七三一番八

宅地  七三八・二六平方メートル(乙第十五号証の三三)

33 同所七三一番九

宅地  四八九・三八平方メートル(乙第十五号証の三四)

34 同所七三一番一〇

宅地  二二〇九・四〇平方メートル

※この土地は昭和五二年度以下は左の様に分筆されている。

(A)同所七三一番一〇

道路  一三〇六平方メートル(乙第十五号証の三五)

(B)同所七三一番一六

道路  九〇三平方メートル(乙第十五号証の三七)

35 同所七三一番一五

宅地  四四二・九七平方メートル(乙第十五号証の三六)

36 同所七三二番一

宅地  三六二・六○平方メートル(乙第十五号証の三八)

37 同所七三二番二

宅地  一四〇・八六平方メートル(乙第十五号証の三九)

※昭和五一年二月二一日公衆用道路に地目変更登記され、昭和五二年より道路。

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